続編 原作漫画『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』詳細。表紙におまけ漫画あり!

続編 原作漫画『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』詳細。表紙におまけ漫画あり!

佐岸左岸先生による『オールドファッションカップケーキ』の続編、『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』。

両想いになった外川と野末。いつの間にか「普通の上司と部下」から外れた「恋人同士」になりすぎていたのでは?と我に返り、外川との距離に戸惑う野末。前作で「結婚してください」とプロポーズ済みの外川はそんな野末に…

悩みに悩む野末さん。10歳年上だからこそ、若さの勢いだけでは乗り切れないモノもあることをきっと知っている40歳の野末と、外川が出す答えとは。

物理本、こちらも紙の漫画本は表紙におまけ漫画『セカンドキス』収録!幸せな(バ)カップルの本編にない姿が楽しめます。

漫画『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』

『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』原作コミック

表紙は野末さん家で朝食中の2人。外川に渡してるお茶碗、ご飯てんこ盛り過ぎるんじゃ…(笑)

『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』原作コミック
タイトル
オールドファッションカップケーキ with カプチーノ
発売日
2021年5月1日
作者
佐岸左岸
発行・発売
大洋図書
ISBN-13
978-4813032823
価格
730円+税

カバーをめくると、書籍本体におまけコミック『セカンドキス』収録!!

電子版には収録されていないおまけエピソード『セカンドキス』が、紙の漫画に収録されています!

『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』原作コミック

両想いになった後の野末さんと外川君、こちらは外川の部屋。野末さんしか目に入らない外川。夢見心地でほっぺをつねって欲しい外川(笑)

電子版には収録されていないので、紙の本を読む機会がある方はぜひぜひ手に入れて、表紙カバーをめくってみてください!

感想

大枠で見ると、大人のような余裕があって泰然と構えている外川と、初めてだらけの経験で舞い上がり、舞い堕ち、途方に暮れて足掻いてる野末、と言えそうな続編ですが。個人的には、野末が天から地の底に堕ちるぐらいの勢いで悩み倒すのは、不思議ではないかなぁ~と思います。

外川は、自分の嗜好を理解して受け入れた時からそれなりの年月色々と試行錯誤してきたのでしょうし、マイノリティと分類される存在としての生き方を、少なくとも野末よりも長い時間考えてきていると思います。

今この瞬間の楽しみ、思いつきで動くのではなくて、幾多の壁が自分たちの前に立ち塞がることを当然として、その状況に面した際にどのように自分たちのダメージを最小限に抑えるか。それをそれなりに、または散々シミュレーションしてきたのでは?と。そのダメージは物理的、社会的、そして精神的なものが予測されるでしょうし、誰か(就活後は野末ですが)と付き合うのならば、お互いにお互いのしがらみが発生することも考えていたはず。

外川は、トラブルが起きることは確定しているのだから、それを見据えて行動していけばよい。とかなり長い目で見ていると思います。だからこそ、「80歳」なんて、野末の今まで生きてきた時間と同じだけの時間を自分と過ごしましょうと、口説き続けていたと思うのです。

翻って野末は、外川からの想いを受け取り、外川を想うことを受け入れてまだ日が短いわけで。しかも外川よりも10歳年上の、営業職の、デキる管理職とくれば、ある意味切った張ったの世界を潜り抜けてきているはず。ということは、現実の厳しさを外川とは違う意味で外川より経験していることになる。

今でこそ昇進にそれほどガッついていなくても、外川が異動してきた頃はそれなりに野心を持っていた時期があったことは1巻の外川のセリフで分かりますし、毎日がつまらなくなる前は、きっと薄氷の上を渡るようなスリリングな出来事もあったの思うのです。そこそこの規模の企業は、社内政治がモノを言うわけですし。

桐島が部長職に就いているのだって、「役職の〇割は女性でなければ対外的に~」という名目があったかもしれないですし。

外川の将来を考えるなら、外川が後ろ指をさされて会社を追われるようなことを起こさないために、と思っても、じゃあ身を引けるかと言われたら「はい、終わりにしましょう」とは言えない野末。外川が後ろ指をさされる時には、きっと野末も同じ状況に陥っている確率が高く、そのリスクを避けられるなら避けた方が良いと考えるのも、おかしくはないかなと。

外川が、それは野末の自己保身だと指摘したのは、なかなか厳しいなと最初に読んだ時に思いました。外川のアンチエイジングのおかげで、野末は仕事にやる気が復活したばかりなのに。白髪を数えることもなくなったし、毎日がキラキラするようになったところなのに。

30歳と40歳では、見るモノも見えるモノも見たいモノも変わってくるはず。

野末が正しいことを主張しているのならば、外川は現実味のない理想を押し付けてるようにも見える。先に何が起こるかなんて誰にも分からないけれど、外川よりも10年長く過ごしてきたその時間は、きっと外川には見えないモノを野末に見せているはず。例えそれらが、取るに足らないと感じられるようなことであったとしても。

まあそれでも、外川は大人だなぁと思います。大人という表現が適切なのか分かりませんが、欲しいと思ったもの、手に入れると決めたものを手にし続けるためならば、長期戦を構えることも冷却期間を置くことも恐れない強さ…余裕…があるのかな?と。2割ぐらい意地もありそうですが(笑)

数年に及ぶ片想いがその余裕を育てたのか、30歳という「まだまだこれから先がある」感が戦略を練らせるのか、狙ったものを確実に仕留めるためには時に急がば回れが重要だと考えているのか、は分かりませんが…

外川は抑圧されやすいポジションにありながら、欲求に素直だなと思います(笑)野末が外川を嫌うことはないと思っている…というより、嫌わせないと決意しているのですかね。


柿沼と桐島の野末’s同期2人は、中の良い上司&部下だと想っていた野末と外川が真剣に付き合っていると聞いて、ただただ驚いたでしょうね。外川のことは詳しくなくても、野末のことは数年前にえっろい図書館司書と付き合っていた事を知っているぐらいですし(笑)

驚いたから、どう反応してよいか分からなかった。ただ、驚きが大きかっただけで責める意図はない。

実際に今の世の中でこんな反応をする人がどれぐらいいるか分かりませんが。ただ、人によってはこの反応じゃないかなとも思います。

誰も彼もが、異性とだけ恋愛しなければいけないと考えているわけではないような…。ただ、お付き合いするのは男女、が社会の当たり前になっていれば、想定外という意味で単純に驚くことはあるんじゃないかと。

私自身が身近な人間に、俗にいうLGBTQなんだよね、と言われたとして、「ふーん」と返して終わりになるんですよね。それ以上の言葉を求められたら、たまたまた自分は男性に性的魅力を感じるので、今のご時世ではLGBTQと分類される人々が直面する問題は想像がつかない。何があるのか、司法の壁がどんなものなのか、知らないから想像が出来なくてすまん。知っておいた方が良い事があるなら、教えてくだされ。ぐらいしか出てこない。

自分自身がそんな感覚だから、柿沼が言った「お前が謝っちゃ駄目だろ」に激しく同意だし、桐島と同じく「幸せになってよね」とも思うところです。

でも、この辺こそが個人差の大きな部分なのでしょうね。別作品ですが『モアザンワーズ』の漫画と実写ドラマを観た時に思いました。ゲイの親友を持っていても、息子には異性と結婚してほしいんだ、なんで同性に惹かれるんだ、なんで孫を望んじゃいけないんだ、と最後までゴネた父親。子供はあんたの道具じゃなかろうよ、と思うのですが、もし彼が一般的な親を表現したキャラなのならば、あれが立ちはだかる壁のよくある姿なのかな、と思ったり。


野末は、あれだけ人たらしなくせに他人に心を開くのは下手くそなのか~と、桐島との会話で思いました。

「あんたには、ダメな時フォローしてくれる人が絶対にいる、もうわんさかいる」

オールドファッションカップケーキ with カプチーノ

野末が体調不良や二日酔いを表に出さないのも、それに気づいた部下たちから心配されていることに気付かないのも、「俺がすべてやるから大丈夫」と誰かの手を借りる思考がないことも。人たらしな割に、警戒心の強い猫のようで(笑)

支えてくれる人たちの中には、野末が今まで支えてきた人達もしっかり含まれていて。それは桐島であり、外川であるわけですが。

カプチーノは、仕事も手につかないぐらいテンパってしまった野末が、何もかもを自分だけで背負わなくて良いとわかって、誰かに自分の荷物を預けられるようになる話かな~と思います。なんか偉そうですけど、四十路の管理職が部下をはじめとする誰かを頼ることは簡単ではないと思うので。心情を吐露できる相手が2人もいる時点で、贅沢だなぁと思いましたね。人たらしめ。

野末は自分が外川のこと「だけ」を心配していないことに自責を感じていて。外川は野末が自分のこと「だけ」心配しているように受け取っていて。そこの擦り合わせが出来たことで、すれ違いも解消されてめでたしめでたし、ですが。

外川の、「話し合って擦り合わせることを厭わない」在り方が、めちゃくちゃ包容力のあるめちゃくちゃ理想的な恋人じゃないかぁぁぁぁぁぁ!!!と、叫びたいです。

言いたいことをぶつけるだけじゃない。相手の言い分もきちんと聞く。両方の考えを、冷静に出し合ってズレを見つける。大抵の場合、お互いの思い込みや言語化していない“察してほしい”が募って、話が通じなくなることが多いわけで(あくまでも個人的な感覚ですが)。

だからそこで、「なぜ」そう考えたのか、そう感じたのか。をお互い出し合ってクリアにするのって、重要なんですよね。「話を聞いてくれない!」と喚いたところで、「お前がな!」と双方が思って終わりになるだけですし。

外川は年の割にこの「認識の擦り合わせ」が上手くて。それは、外川のアブナイ性癖や想像の中のニャンニャンパフパフを現実の野末とどう共有するか、なんてものも含まれているわけですが(笑)

野末が逃げかけても外川は逃げない。もういい、と不貞腐れることなく「何を考えているのか話して欲しい」とちゃんと聞き出す。←これ、できる人あんまりいないのですよ、現実には!話を通じ合わせるのは確かに難しいので、相手が思うとおりの反応を返してこなかった時にそこで拗ねるか失望するか諦めるか、が9割じゃないですかね。(そんなに幼いのはお前とお前の周りだけだと言われると反論できないw)

野末は、自分が悪かったと認識したら、きちんと外川に謝ることが出来る。俺が間違ってた、と。これも、誰もが出来る技じゃない。

だから、結局何が言いたいかと言うと、バカップル末永く幸せに爆発しろ!ってことです。この先、幸せなことばかりじゃないだろうけれど、2人で時々ぶつかり合いながら、その時々で考えていることを暴露し合って、妥協できるところや歩み寄れるところを擦り合わせ合って、悩みつつも幸せ振りまいて生きていってください。です。

ラジオドラマCD『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』

『オールドファッションカップケーキ with カプチーノ』は、ラジオ(音声ドラマ)CD化もされています。

悩む野末、拗ねる外川。。。。。ぱたり。